ご一緒しませんか? 顛末記

 近来稀に見る道楽なネットラジオが、その目的を達したので、覚え書き的な意味も含めて2005年8月16日記す。
事務所に許可とってねぇからなるべく顔の写ってない奴チョイス

 今年の1月、本放送の終了とともに、プロジェクトと局の宣伝費で作られていた宣伝番組の、無印ご一緒しませんか?が終わった。
 初主役−高橋美佳子と初ラジオ−中井和哉の組み合わせは、製作プロデューサーのお手柄で、収録現場は傍から見ていても実にいい雰囲気かつ、番組は個人的にとても好ましい出来上がりだった。
 なんだかもったいない。それが最初の想い。
 地上波放送がこれから3ヶ月あるという時期に、宣伝番組がないのはどうなの? という切り口で各方面にアプローチしてみたが、残念ながらどこからも制作予算は捻出できなかった。
 この二人の微妙なコンビネーションは捨てがたい。
 続けたい。
 それならば、わしが作るよ。と宣言して動いた。
 出演者二人の事務所には、宣伝番組で、ネットで配信する以外、のちにCD化しないからということで、ギャラ交渉をする。
 商品となるものに出演してもらうのと、宣伝のためにひとつご協力をという形では、役者の働きは一緒でもギャラに差が出るのが業界の常。
 スタジオとディレクターにも頭を下げて、実費以下で制作をお願いする。コネクション総動員。
商品化しないということは、ギャラを安くできても、わしが出したお金が回収できる見込みがないということで、諸刃の剣っていうか、まさに道楽。商売として成り立っていない。
 しかも、売れっ子二人のスケジュール調整が難航。
  本来、スタジオに制作を依頼すると出演者のブッキング込みで進めてもらえるものなのだが、そこは値切った手前、自分でブッキングする。
  役者のギャラ削ってるのに、外部ライターに構成依頼もなかろうといことで、4年ぶりに自分で構成を切る。道楽の極み。
 そしてリターンズは出来た。
 4本分。
  これだけでわしの二か月分のギャラが吹っ飛んだ。
 面白かった。
 反響もあった。
 そこで思いついたのが公開録音。
 公録の模様を撮影して、DVD7に入れられれば、制作費が捻出できるんじゃなかろうかというアイディア。
 捻出できれば、公録の人集めってことで、リターンズを続けられるという思惑。
 しかし、既に監督デビュードキュメンタリーを、やっぱり自腹を切りつつ作っていたので、このアイディアは実を結ばなかった。
 そうこうしているうちに地上波放送の視聴率が出始め、なかなかの好調ぶり。
 リターンズも続けたい、続けて欲しい、自他のニーズが一致してしまったので、もう4本がんばることにした。
  そして更にもう4本。
 半年分+αのギャラが…。
  二人の他にゲストなんか呼ぶから(^^;
 地上波の放送も終わり、懐も限界に達したのでリターンズは終了した。
 DVD7の中身も出来上がってしまったので、公録をしても回収の道はなくなったのであった。
 ほんとうならこれで、いやぁ楽しかった、と終わるところだったが…。
 販社の宣伝担当から、DVD7の発売イベントで公録しないかとオファーがあった。
 それが5月。
 だが、話を聞いてみると、潤沢な予算があるわけではない。
 宣伝費だけでは公録は実現できそうもない。また持ち出しが増える…。
 今年は、大口の仕事がまだ決まってないから、これ以上の道楽は、死活問題になりかねない。
 一瞬悩んだが、番組中で公録のネタを振っていたせいで、リスナーからの反響もあったし、ほったらかしにするのには、なにより個人的な思い入れが強すぎた。
 とりあえずブッキングをはじめる。出演者のスケジュールが取れないことには、公録もなにもあったものじゃない。
 普通の収録と違い、客入れのイベントは、曜日も時間も限定される。
 やはり平日より土日。そして昼間。
 これが既に不可能に近い事態だった。生番組のレギュラーあり、レギュラー番組の収録あり。まったく時間が取れない、合わせられない。
 しかも客前の仕事、ギャラの問題も…。
 ここで、スケジュールが取れないから無理でした、で終わらせれば、これ以上の持ち出しもない。そんな考えも浮かんだが、ブッキングできないという事実が、やばい道楽心に火をつけた。
 そしてアクロバティックなブッキングをする。
  中井和哉、生本番終了後駆けつけ。
  高橋美佳子、公録終了後、即出し。
  二人が一緒にいる時間は1時間30分。
  それもお盆の日曜日。コミケ丸被り。
  だが、そこを外すと、可能性はなくなる。3ヶ月先のスケジュールにキープを入れ、公録を実行することになった。

 3ヶ月は、瞬く間に過ぎた。
 リターンズが終わって時間が経ち、地上波放送もとっくに終わっているこの時期に、金をかけて公録やって、お客が入りませんでしたでは、販社にも、なにより無茶なスケジュールで出演してくれる二人にも申し訳ない。
 せめて一回くらい『公録やるから来てね番組』を作らないと…。
 そしてマンモスが出来た。
 だが既に、プロジェクトで使っていたサーバーにアップするには時間がない。
 またもやコネクション総動員。マンモスの公開場所を確保する。
 一日でも早く、世に出したくて、一晩だけマイサーバーにマンモスをアップするも、非力なサーバーが悲鳴をあげ、即削除。534人だけに聞いてもらう。
 翌々日。マンモス正式公開。
 しかし、メールの反響が薄い。
 だが、店での予約状況は悪くないという情報も入ってきていた。
 一週間前に台本を作る。
 販社のスタッフからサプライズの提案があり、その段取りも密かに進める。
 やって欲しいことメールは当日ぎりぎりまで待って、当日二人に選んでもらうつもりだった。
 ところが実際、9人からしかメールが来なかった。企画倒れ。
 せっかくメールをくれた9人は、出席を取るという形で台本に反映させたが、当日時間が足りなくなって、スルー。唯一の悔い。
 でも面白かった。8月14日。

 この手の仕事を展開すると、かならずクレームが入る。
 ところが、これに関しては、リターンズで同一アドレスから二通。無記名。
 マンモス告知で二人から一通づつ。記名あり。
 と、信じられないほど少なかった。
 アクセス数と、メールの総数を考えると、ゼロに等しい数字。
 今後、こんなことは二度とないのではなかろうか。
 でも、公録が終わって、80名弱の来場者から、一通もメールが来てないのは、ちょっと悲しい。
 もし、良い反響があったら、もう一度なんて考えてたんだけど(^^;
 まぁ、道楽はほどほどにして、次の仕事にとりかかることにしよう。
 次は、ちゃんと人の金で、仕事として番組を作りたいものだ。
 持ち出し総額…2002年の年収と一緒。
 大笑いな道楽者。

2004年に「グレネーダー〜ほほえみの閃士〜」
という全12話のTVアニメを手伝いました。
それのプロモーションがらみのネタです。